二世帯住宅は税金が下がることがある?
法律はその時々で改正されますが、税金関連の法案も毎年のように変わる傾向があります。相続税では平成27年が1つの転機であり、控除額が大幅に目減りした反面、二世帯住宅に関しては有利な状況が整いました。
では、一体どんな仕組みで税金が抑えられるのかをチェックしてみましょう。
二世帯住宅にして実家を守る
相続税に対して優れた節税効果を発揮することから税金に強い住まいとして二世帯住宅が話題になっています。
ですから注文住宅を検討している際は、別居より実家を二世帯住宅に建て替える方向で考えた方が良いでしょう。と言いますのも、不動産相続では親と一緒に生活していたか否かが非常に重要であり、この違いにより天と地ほどの差が生じるからです。
当然ながら一緒に住んでいた方が良い訳ですが、受けられる恩恵も素晴らしいものが用意されています。その前に、先の改正で変更になった控除額を述べておきますと、5千万円だった基礎控除が一気に2千万円も減額され、3千万円にダウンしました。
さらに、各相続人の控除額も1千万円だったものが600万円に急降下するなど、概ね40%ほど大胆にカットされたのです。人によっては絶句する内容ですが、事実、改正前はセーフだった人も改正後は余裕でアウトになるなど、人ごとでは済まされないご時世となりました。
中でも課税対象になりやすいのが不動産であり、その税金を支払うだけの余力がなければ、相続した家を手放すしかありません。もしもそれが自分も暮らしていた自宅だった場合、明日から住む家を失うことを意味します。
ですが政府もそこまで鬼ではありませんから、それに対する対策もちゃんと用意してくれており、それが小規模宅地関連の特例措置です。なので親が被相続人、子が相続人となる場合、親が亡くなる前から一緒に住んでいて、かつその後も住み続けるなら、相続税は大幅に優遇されます。
つまり、同居さえしていれば受けられる恩恵も、別居ならそれを棒に振り、控除額を超えればガッツリ課税される仕組みです。二世帯住宅ならその適用条件を難なく達成できるため、納税額を下げるどころか、一切支払わずに済むことも夢ではありません。
具体的にはどれぐらい有利になるのか
改正前も二世帯住宅は相続税で有利だったのですが、宅内で相互往来ができない構造は適用外というのが通例でした。ところが先の改正でその条件が見直され、相互往来が不能でもOKとなるなど、完全分離型でも控除が受けられるよう拡充されたのです。
具体的には、土地の課税標準額が80%減となるなど、捨ておくには惜しい優遇措置となっています。課税標準額は主に税額を決定する際に用いる基準価格であり、不動産屋などで売買される市場流通価格とは完全に別ものです。
基本的に市場価格より標準価格の方が低いため、その額面を見た時は、思った以上に安いと感じるのではないでしょうか。基礎控除額が劇的に下がった今、相続税の支払いを防ぐ意味でも、二世帯住宅で対策を講じておくのが得策だと思います。
また減額してもらえる割合は利用区分で異なりますが、事業用などではなく、一般的な宅地なら概ね最高レベルの80%減が適用される筈です。
将来を見据えたプランニングも一考に値
小規模宅地関連の優遇措置を知れば、二世帯住宅が有利であることは明白ですが、千葉県で完全分離型を建てる場合、少しだけ留意しておきたいポイントもあります。千葉県に限った話ではないのですが、可能であれば世帯間を往来する宅内設備を設けておいた方が良いかもしれません。
注文住宅なら自由自在に設計できますから、何らかの方法で策を講じられてはどうでしょうか。完全分離型のメリットを自らで潰す行為ではありますが、もしも将来、親の介護が必要になった時、それがなければ相互移動が面倒になるのです。正直に言いますと、それよりも今後の税改正の方がかなり気になります。
先の改正で確かに完全分離型の二世帯住宅は厚遇されましたが、ということは、その逆もまた考えられるからです。現在はOKでも、今後の改正次第では、やはり完全分離型はダメ、となるパターンも視野に入れておく必要があります。
国の財政状況によってはどう転ぶか分かりませんので、相続はかなり先という場合、転ばぬ先の杖で手を打っておくのが賢い選択ではないでしょうか。幸い千葉県には優れた建築会社やハウスメーカーが揃っていますから、相談すれば匠の技で、完全分離型の利点を損ねない内通路を提案してくれるかもしれません。
ただし、注文住宅で完全分離型を建てた場合でも、区分所有権を別々に登記することだけはしないでください。もちろんやっても構わないのですが、それでは公的に別世帯となってしまい、折角の恩恵を受けられない可能性が大です。
二世帯住宅が税金対策に強いと言われる理由は、相続する際、不動産の評価額を格段に下げられる点にありますが、その下げ幅も80%減など、魅力的な恩恵となっています。以前より控除額が概ね40%もダウンした現在、相続税から千葉の実家を守る手立てとして、二世帯住宅は見逃せない選択肢です。
しかも完全独立型なら普通の一戸建てと同様の感覚で暮せますから、上下での分離や左右での分離など、色々なプランを検討してみてください。